お仏壇を決める時、ほとんどの方がお知り合いのお仏壇を見て参考にし、同じお仏壇を同じお店で買うとか、顔見知りの仏壇店で言われるがまま決めている方が多いのではないでしょうか。
簡単に言うと、見聞きしてもよくわからないので「同じものだったらいいか」とか、「この位の値段だったら大丈夫だろう」と言うだけで決めている方が多い様なのです。
実際、良心的で安心できるお店もありますので、私達職人も納得するのですが、中には「これはいかがなものかなー」というお店があるのも事実なのです。
しかし、それには私達職人にも責任があるのです。今の時代、いろんな情報を簡単に手に入れる事が出来ます。しかしお仏壇に限っては、いままで「うやむや」にしてきた部分が多かったのです。ですから、小売店さんがお客様に対してきちんとした説明が出来なかったのです。それは、小売店さん、またお客様にとって本当に良い事だったのでしょうか。そこで、私達職人がお仏壇がどのような材料・材質を使って、誰が造ったのかを明確にし、これにより、お仏壇を買う時の比較・対照ができ、納得してお買い求められる、「判断基準(もの差し)」の小冊子を作りました。
これは先程も言いましたが、この業界でタブー視されていた事であり、今までなかった事なのです。それをあえて今、この壁を打ち破ろうと試みてみたのです。しかも、この様な考え方にご賛同頂きました良心的で安心できる小売店様のご了解を得て、ここにてご紹介する事にもなりました。私共職人がお薦めする小売店様方です。
この様な事も重なり、お蔭様でこの一冊だけで、大量の情報が一度でわかる様になりました。
皆様どうぞこの一冊をご参考にして頂きまして、より確かで安心できる情報誌としてお使い頂き、良いお仏壇・良いお店を選んで頂きたいと思います。
お仏壇はなぜこんなに値段が違うか疑問に思った事はないでしょうか。お盆やお彼岸の時期になると、新聞の折込広告がたくさん入ってきます。広告には例えば、
○○の商品 19万円より
○○の商品 50万円均一とか
○○の商品 3本限り 何百万円が何十万円とか
スーパーの野菜売りか、はたまた大型電気店のような広告が入ってきます。お仏壇を投げ売りしているかの様な印象さえ与えています。とても私達仏壇職人から見ると、目にあまる広告が多くさびしい思いと、いきどおりで一杯になります。今まで私達職人は残念ながらこのような広告に対して立場的に言えませんでした。
実際、お仏壇はそれが適正な価格かどうかは、普通の方は見ただけではわかりません。そのお仏壇を判断する場合には、素材・構造・デザイン・技術などがどうなっているのかを知らなければなりません。
例えば金箔一つとっても、いろいろ種類があります。そのお仏壇に、どのレベルの金箔が使われているかで、価格が大きく違ってきます。また、良質な金箔を使ったとしても、塗りのレベルや素材の質を変える事で、価格も変える事ができます。だからこそ、基本になる事を知ってからお店へ行くべきではないかと、私共は考えています。
私達は、お客様に間違いのないお仏壇をお買い求めいただく為に職人から見た判断基準をお客様に説明すべきであると考えました。
仏壇は一生に一度のお買い物です。また、何代も受け継がれる大切なものです。だからこそ、目に見える所だけでなく、見えない所も確認して5年後10年後の事も考えながら納得してお買い求め頂くことが、私達の最大の願いなのです。
仏壇の部品点数は、有に千点を超えます。そして、その仏壇が50年・100年と使えるように先人は、全てがバラバラになる様に作り上げました。この構造はすばらしいの一言です。
でも、これはお金がかかります。出来上がった時は、接着剤で貼り付けた仏壇となんら変わりはありません。単に値段が高いだけです。
しかし、違いは後で判ります。例えば、仏具を落としてキズを付けてしまって修理したいとか、法事があるので汚れた仏壇をキレイにしたいなどの時に判ります。けれども、そんな先の事まで考えてお金を出すべきなのか、それともダメになったら捨てたらいいと思うのか、それはお客様それぞれの価値観で判断される事と思います。
しかし、私共職人はひとつひとつが作品と考えていますので将来にゴミを作る様な仕事はできないと考えています。
木材には、適材適所の使い方があります。木にもいろいろな性質があります。やわらかくて素直な木は彫り物に。ねばりがあって固くも無く、虫を寄せ付けにくく耐久年数の長い木材は、一番大切な骨組みに。これに関しては、世界の中でも桧が1・2番ではないかと思います。その為、昔から仏壇の要になる部分は桧で作られてきました。
しかし、高価です。けれども、仏壇全体の中の桧が占める金額は極わずかです。ほんのわずかの金額の違いが5年後10年後を大きく左右します。
仏壇は、昔から今も変わらず職人の仕事であると私共は考えています。本当に必要な部分は絶対にゆずってはいけないと思います。けれども、昨今は見ばえが同じなら塗ってしまったら判らない、こんな考えを持っているお店も存在しています。
はっきり言って難しいです。漆塗りの技法は世界に誇る日本の伝統技法です。この古来からの技法を基に現代の仏壇は作られています。
そこには、口では現しきれない職人としての長年のカンが入っています。仕上がる迄は、20前後の作業工程が必要とされます。その一回一回の工程の中に微妙なカンが働いています。当然、気候や温度・湿度によって全ての対処を変えています。そのわずかのカンという違いが将来大きな違いとなって現れてきます。しかし、残念ながら年月を経ないと違いは判ってきません。だからこそ、信頼のおける職人が塗ったかどうかを確認する必要があります。
そして、またお店が職人の仕事に理解があるかどうかが大きな問題です。職人の仕事に理解のあるお店と仕事が出来る事は、職人にとっても一番の幸せであると思います。
金箔は、金と銀と銅の合金で作られています。金の純度の違いで5種類に分ける事ができます。ちょうど指輪の24Kや18Kがあるのと一緒です。アメリカでは14Kから金として認められているらしいですが、やはり金の純度の低いほど色がさめてしまいます。
一番高い金箔と一番安い金箔では、倍以上の値段の違いがあります。当然、仏壇の価格も大きく左右します。
しかし、違いは素人には判りません。これが判ってくるにも年月が必要です。そして、いざその違いが判った時にはどうする事もできません。全てやり直すしかありません。本当にお値打ちに良い買い物をするとは、目先だけで決めるよりも、せめて5年位先の事は考えて決めた方が本当に安くてよい買い物をする、という事なのではないでしょうか。
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